『バーテンダー』

(原作:城 アラキ、漫画:長友健篩、集英社、2010、540円)
「スーパージャンプ」連載中で、2010/12/29に単行本第18巻が発売。
年末年始は「バーテンダー」を第1巻から読み直してました。

「バーテンダー」を一言でいうと、
バーを舞台に「仕事観」「人生観」について語る漫画です。

<概要>

主人公は、飲む人の心を癒す究極のカクテル「神のグラス」を生み出す
天才バーテンダー・佐々倉溜。
酒の蘊蓄と絡まりながら、バーを訪れる客の人生模様と癒しが、
シリアスに、ときにコミカルに描かれるとともに、
バーテンダーとして経験を重ね、主人公自身が成長する姿も描かれます。
バー見習いから単身渡欧、帰国後、銀座のバーの手伝いから、
バーを一人で任される雇われバーテンダーに、そして、ホテルのバーへ。
13巻では初めての弟子(部下)を持ち、
18巻では、弟子とともに、独立して自分の店を持つ準備を進めます。
会社員に置き換えれば、ヒラ社員から管理職に昇進して、独立&起業・・・と言ったところでしょうか?
起業・・・会社員の夢ですね☆
人により本作品の好みはそれぞれだと思いますが、
私は、13巻で翼くんを弟子に持って以降の、翼くん目線でのストーリー展開が好きです。
師匠として佐々倉さんが葛藤する姿に、12巻までとはまた違う、何か人間らしさを感じます。

<おすすめポイント>

単なるバー漫画として読むだけではちょっともったいないと思います。
個人的には、ちょっと深読みして、「仕事の教科書」として、登場人物のセリフの中で、
「バーテンダー」という言葉を「エンジニア」に読み替えて読んでいます。

■グラスを割る、酒をこぼす、オーダーを間違える。確かに不運もある。
 しかしその不運を失敗につなげないのがプロ。
 (斉藤チーフ@バー・ラパン / vol.2 glass.12)
■サービス業は1日に”みっつの不幸”が重なると心が折れそうになります。
 客のクレーム、小さな自分のミス、そしてもうひとつ何か。
 一度の失敗で逃げ出すなら、最初からバーテンダーなんか目指さない方がいい。
 (佐々倉溜 / vol.4 glass.30)
■仕事で絶対にミスをしない人がいます。どんな人か分かります? 
 答えはね・・・「仕事をしない人」
 (加瀬五郎=溜の師匠@バー・風 / vol.13 glass.102)
■どんな仕事でも10年間は自分の中に扉を作らない。
 たとえ自分とは違うやり方、違う考え方と思っても。
 (西沢チーフ@カーディナル・ホテルバー / vol.12 glass.95)
■迷わないのは努力を忘れた奴だけだ。だからどんな天才も迷う。
 そして迷うことでしか壁は破れない。
 (北方=溜の先輩@North Wind / vol.13 glass.101)
■仕事ってね、本気になって、必死になって、
 自分の血を流さないと覚えない。
 (佐々倉溜 / vol.14 glass.110)
■君がもし本当にお客様を神様と考えるなら、
 君は決してプロのバーテンダーにはなれない。
 (佐々倉溜 / vol.11 glass.111)
■ボクが・・・作ったかあ。
 仕事は段取り=準備が9割って言葉知ってる?
 (伊丹彰男=バーホッパー / vol.13 glass.97)
■お前に作り直す誠実さがあり、そのための努力を続ける限り、
 客も世界中のバーテンダーもお前を助けてくれる。
 バーテンダーとはそういう仕事だ。
 (葛原隆一=Mr.パーフェクト@バーK / vol.2 glass.13)
■職人は、人をひとり育てて、やっと一人前なんですよ。
 (加瀬五郎@バー・風 / vol.13 glass.103)

ストーリーにしっかりとした軸があるからこそ、ありがちな説教言葉に終わらず、
下手なビジネス書より説得力のある言葉となって、心にスッと入ってきます。
(おじさんの書いた説教臭いビジネス書・・・世の中には沢山ありますよね?)
そして、いちばん言ってみたいセリフがこれ。
プロですから」
(バーテンダーと書いて”プロ”と読む)

<さいごに>

上記おすすめポイントは、「仕事観」を中心にをまとめましたが、
その他「人生観」を中心としたストーリー、名言も満載。
TVドラマ・TVアニメのバーテンダーもありますが、
やっぱりコミックスの「バーテンダー」がおすすめ。
すべて揃えるのは大変だと思いますので、ひとまず、
漫画喫茶で、オリジナルの「バーテンダー」を一読ください。
はまる人には、はまりますよ。(私みたいに)