『ギャラリーフェイク』

(ソニー・ピクチャーズエンタテインメント、2005)
マニアックな作品が多い、テレビ東京の深夜アニメ枠。
そんな中、大人でも楽しめるアニメとして放映されていたのが「ギャラリーフェイク」。
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原作、細野不二彦。小学館週刊ビッグコミックスピリッツ連載。
主人公の藤田玲司は、元・NYメトロポリタン美術館の優秀なキュレーターで、贋作専門の画廊「ギャラリーフェイク」のオーナー。その画廊は、表向き贋作専門の画廊であるが、裏で美術品のブラックマーケットに通じており法外な金額で本物の美術品が売買されている・・・。画廊「ギャラリーフェイク」を通じて、藤田と助手のサラが、毎回、美術にまつわる様々な事件に巻き込まれるという設定。
元・キュレーターとして確かな技術、確かな審美眼を持つ藤田の活躍がメインの本作において、
自分が一番好きなエピソードは、(藤田があまり活躍しない)『残暑絵金見舞』。
“(赤岡の)絵金祭りを好いた男と見たい”という昔の約束。そして数年後、追われる身になりながらの再会。
 男「こうしてると忘れてしまいそうじゃ。今までのことやら、明日からのこと・・・」
 
 女「忘れよぅ。うちも忘れたいちや。」
闇の中で、ろうそくの灯火に照らされるあやしげな絵金(幕末の絵師・弘瀬金蔵)の屏風絵に吸い込まれるように見入りながら、
意識が薄れゆく中で交わされる男女の最期の会話。灯火が消えるまでの、刹那の満ち足りた時間。
単なる藤田とサラの甘ったるいラブストーリーになりがちな本作において、異色の、切ない大人の恋愛を描いていて、唯一泣ける話。
DVDでは、「ギャラリーフェイク DVD-BOX GREEN」(第11巻)に収録。
レンタル屋で1本ずつ出てるので、借りて見ることをおすすめ。