『のはなし にぶんのいち~キジの巻~』

(伊集院光著、宝島社、2010、500円)
伊集院光の既刊「のはなし」の分冊・文庫版。
「のはなし」はかつて伊集院光氏がメルマガに連載していたエッセイを加筆修正し、「あ」~「ん」の五十音順に再編成したもの。
「のはなし にぶんのいち~イヌの巻~」は「あ」~「つ」で始まるタイトル、
「のはなし にぶんのいち~キジの巻~」は「て」~「ん」で始まるタイトルの話を収録。
一言で言うと「笑えて、感動するエピソードが凝縮されたエッセイ集」。
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TBSラジオ「深夜の馬鹿力」でのトークの脱線ぶりとは一線を画し、ワンテーマについて幼少期の話から落語家時代、日常生活の話まで、見開き2~4ページ程度で綴られており、ムダなく分かりやすい内容。(喋りの才能のみならず)文才も感じさせます。
特に「~キジの巻~」で笑えたのは「寝言の話」。
内容は、こちら参照。( http://www.youtube.com/watch?v=-9p0pXCiXI0 )
寝言で「紙粘土買ってきて」には大爆笑。
個人的に感動したエピソードは、「雪の話」と「40の話」。
日頃、冷静に物事を分析し毒を吐く伊集院氏が、「弟子・後輩」の視点で、落語家時代の師匠・三遊亭楽太郎(現・六代目三遊亭円楽)や落語家の先輩を、(落語家を廃業してもなお)純粋に慕う姿に若干の驚きと感動を覚えます。
「一生モノの師匠と出会う」
普通、なかなか出会えません。(「師・弟」相互の人間力のためかもしれないですが)
そういう意味で、偉大な師匠を持つこと、
それも伊集院光氏の才能の一つだと思います。
問答無用のおすすめ度★★★★★