『SEのための価値ある「仕事の設計」学』

(著:森川滋之, 技術評論社, 2008, 税別1,880円)
Secrets of your Success in the Future
– Important things for every young System Engineer –

たまに飲み会などで、ベテランのSEの方と同席して話したりすると、
過去のシステム開発の武勇伝・失敗談など、思いのほか興味深い話が
聞けたりすることがありますが、この本は、まさにそんな本。
SEに特化したビジネス書として、
また、単純に読み物としても、面白い一冊。

<目次>

 第1部 これから求められるIT人材とは?
▽第1章 背中が煤けていませんか?

▽第2章 将来性がないなんて、とんでもない!

 第2部 ユーザー主導時代に必須のスキルとは?
▽第3章 市場価値の高いスキルとは?

 第3部 突破口はどこにあるのか?
▽第4章 ぼくはどうして突破できたのか?

▽第5章 これが最短距離だ!

▽第6章 これからSEが目指すべき道は?

<概要>

独立系SI(システム・インテグレーター)のTISで、SE・チームリーダー・プロジェクトマネージャ
を歴任し、現在はコンサルタントとして独立している筆者が、
自ら歩んだ道を示しながら、やる気をなくしがちな30代前半のSEに向けて、エールを送る内容。
章構成は、
第1章~第3章が、必要とされるSEに必要なスキルの説明、
第4章が筆者の社会人人生の話、
第5章がSEとして自己実現するための14階段の説明。
第6章がまとめです。

<ポイント>

ポイントは第5章。
マズローの「欲求段階説」に対応した「自己実現への14階段」について。
これは、筆者が、自身のSE経験を踏まえて導き出した表です。
経験の十分でない新人~中堅SEが、「これから自分はどうなりたいか?」
について考え、モチベーションを保っていくための指針となる内容です。
ちなみに、筆者曰く、これは、SEに限らず、あらゆる職業に共通する内容とのこと。

段階 レベル 行動
1 将来の不安をなくす 自己スキルの棚卸し
会社と客先を最良の学校にする
自己投資をする
2 顧客と会社に認められる 提案、提案、また提案
顧客のパートナーになる
社内の権威になる
3 社外で認められる 業界団体などに参加する
自分のミッションを持つ
人脈を広げる
ビジネス・パートナーを見つける
4 自分のミッションを実現する ライフプランを立てる
他人に頼らない人間になる
他人を支えられる人間になる
自分のミッションを実現する

<感想>

先日、会社の「できる」先輩が退職しました。年齢は30代前半。
詳しいことは直接本人からは聞いていませんが、人づてには聞いたところには、
「モチベーションがない」というのが、理由の1つらしく。
日々仕事をしていると、きっと誰もが、
自分がやっていることが「くだらない」と思う瞬間や、多忙な日々がずっと続くのだろうかと思う瞬間、
そして、将来に漠然と不安感を感じる瞬間など、多々あると思います。
そんなとき、未来への希望、モチベーションが、心の救いになります。
この本は、IT技術者特にSEに対して、道を示す内容となっています。
その道を進むには苦労を伴うかもしれない。
ただ、その道が見えてるのと、見えていないのでは大きく違う。
SEまたはSEを目指す人は、ネガティブな気持ちになる前に、この本を絶対に読んでください。