『セルフトークマネジメントのすすめ』

(鈴木義幸著、日本実業出版社、2008、1500円)
いざというとき、緊張や不安で頭が真っ白になってしまう。
ちょっとしたことでカッとなってしまう。
そんな経験、ありませんか?


本書は、そんな「感情」や「行動」を引き起こす要因となる
「セルフトーク」をうまく扱って
自分をうまくコントロールしようという本。
最近、頭の中にネガティブ・ワードが飛びまくってるな、
という方は是非ともこの本を読んでみてください。

<目次>

はじめに
プロローグ:二つの面接
Part1 セルフトークとは何か
 ・特別なひとり言
 ・セルフトークが感情と行動を支配する
 ・セルフトークはなぜ生まれるか
 ・自分をコントロールする最良の方法

Part2 セルフトーク・マネジメントのための基礎知識
 ・セルフトークとコーチングの深い繋がり
 ・二つのセルフトーク:セルフトークAとセルフトークB
 ・「反応」と「対応」を区別する
 ・「対応」だけが可能にする第三の道
 ・セルフトーク・マネジメントのアウトライン

Part3 セルフトークを「変える」-ネガティブな感情から脱する方法
 ・セルフトークを「変える」とは?
 ・自分への質問でセルフトークを変える
 ・セルフトークのパターンを整理する

Part4 セルフトークを「使う」-行動を強化・修正する方法
 ・セルフトークを「使う」とは
 ・セルフトークを使って「考える」
 ・セルフトークは「使い続ける」ことが重要
 ・セルフトークは行動のスイッチになる
 ・セルフトークで緊張を防ぐ・クセを治す
 ・ポスターやモットをセルフトークの視点で考える

Part5 セルフトークを「減らす」-集中力を高める方法
 ・セルフトークを「減らす」とは
 ・心と体を整える
 ・ルーチンを作る・守る
 ・アイデンティティを正しく理解する
 ・自分を守るのではなく、相手のことを考える
 ・期待しない
 ・他人にはったレッテルをはがす
 ・「未完了」を減らす
 ・感情をジャッジしない

Part6 セルフトークを「なくす」-最高の実力を発揮する方法
 ・セルフトークを「なくす」とは
 ・達人の世界-セルフトークを「なくす」とどうなるか
 ・セルフトークを「なくす」具体的な方法

Part7 セルフトーク・マネジメントで何が変わったか
 ・講演のあとで
 ・管理職との面談
 ・ラグビーの試合で

<構成>

本書では、コーチングのプロである筆者が、セルフコーチングの手法のひとつ
「セルフトーク・マネジメント」を紹介しています。
プロローグ及びPart7は、セルフトーク・マネジメントに関する実例を用いた物語(使用前・使用後)。
Part1/2でセルフトーク及びセルフトーク・マネジメントの概念について説明し、
Part3~6で具体的なセルフトーク・マネジメント方法を説明しています。

<ポイント>

●セルフトークによる行動モデル
 ①「ビリーフ」(belief:あらゆることに対する判断基準)が他人や環境から刺激を受けることで、
 「セルフトーク」(self-talk:感情や欲求、思考、行動の引き金として自分の中に生まれる言葉)が発生
 ②セルフトークが「感情」を決定
 ③感情が「行動」を決定
 ⇒「ビリーフ」「感情」「行動」を変えるのは難しい。
  「セルフトーク」なら変えられる!

●2つのセルフトーク
①セルフトークA
 =自分の意思に関わらず自動的に(Automatic)に生まれるセルフトーク。
  (感情⇒反応の流れを作る)
②セルフトークB
 =自分の意思で生み出す(Bear)セルフトーク。(理性⇒対応の流れを作る)
 ⇒セルフトークAは、「自分のために戦う」「逃げる」の2者択一、
  セルフトークBは、「相手のために何ができるか」の選択肢を増やす。

●セルフトークマネジメントの方法
①セルフトークを「変える」
 ネガティブな質問「もし~しなかったら?」「どうしてこんなことに?」を変える。
 <方法>
 ・否定的質問→肯定的質問へ
 ・他責の質問→自責の質問へ
 ・相手の背景を探る質問を考える
 ・視点を変えて質問を考える

②セルフトークを「使う」
 セルフトークBを意識的に生み出して行動を強化・修正する。
 <方法>
 ・「逃げない」などの言葉でスイッチを入れる
 ・緊張を防ぐには「もっと緊張しろ」などの逆説療法

③セルフトークを「減らす」
 ネガティブなセルフトークAを生み出さないようにする。
 <方法>
 ・ストレスレベルを認識していつでも気分転換できると思い込む
 ・ルーチンを守る
 ・アイデンティティを、単なる「役割」と捕らえ、本当の自分は傷つかないと思う
 ・自分を守るのではなく、相手のことを考える
 ・相手に媚びない、擦り寄らない、期待しない
 ・他人に貼ったレッテルを剥がす
 ・未完了を減らす(健康、人間関係、お金・仕事、身の回りの環境)
 ・感情を自分でジャッジしない(悪循環をなくす)

④セルフトークを「なくす」
 「ゾーン」(意識からセルフトークAがなくなることで集中)
 「フロー」(意識がセルフトークBで満たされセルフトークAがなくなることで集中)
 の状態になる。
 <方法>
 ・結果や目的ではなくプロセスを重視する
 ・「時間を忘れる」感覚を持つ

<感想>

最近スランプだな、ストレスが溜まっているな、ぐっすり眠れないな、というとき、
その「感情」「行動」を生み出す源、「セルフトーク」の存在を意識してみるだけでも、
今の自分を客観的に見ることができて、ちょっと気が楽になります。
正直、それだけでも一読の価値ありの一冊。
それでは、よいお年を。